いらっしゃい、店長ですみません。

2018年5月5日より新高円寺にオープンした水道橋博士のお店「はかせのみせ」の店長日記。

120円の価値の話

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この画像はボクが作ってるLINEスタンプのものですが、LINEスタンプって120円じゃないですか。金額的には今の缶ジュースよりも安いですよね。しかしこのLINEスタンプに120円払うのと、缶ジュースに120円出すのとではやっぱり違うんですよね。LINEスタンプは個人のかなりの趣味というか趣向が反映されるモノだと思うから、闇雲にまぁこれでいいかという妥協がない120円だと思うです。一方自動販売機で買うジュースの場合、本当はカフェオレがいいんだけど、カフェオレがないからコーヒーでいいかとか、じゃ、ミルクティーにしよという妥協がある120円なんですよね。

store.line.me

そう考えると、LINEスタンプもまぁこれでいいかという妥協が見られれば、そこそこセールスにも繋がるんじゃなかろうかとも思うんだけど、それには比較対象がいる。どれでもいいかと思わせなければならないという事は、どれもいいと思わせなければならないという事でもあるんだけれど。

ボクのLINEスタンプは4種類あるんだけれど、エビフラえもんというオリジナルキャラクターと、同じ絵柄の髪の毛が長い時のボクが2種類、そして短髪のボクと。一応比較対象にはなるんだろうけど、それでもまだ、これでいいかという妥協には至らない。そもそも妥協するには、この中のどれかだったらという条件が必要な訳で、この場合のこの中のどれかというこの中は、数多あるLINEスタンプの中からになるから、たとえ妥協して買われるとしても、その対象がLINEスタンプ全体からとなると選ばれる可能性は非常に低いものになる。

では、いかにして売れるスタンプを作るかという話になると、それが分かれば苦労はないし、売れているんだろうけれど。

使いやすい、思わず使いたくなる、ウケ狙い、実用的、

などの使用上の便利性から選ばれる

実用的なスタンプ

人気キャラクターやタレントなどの

キャラクタースタンプ

方言、名言などの

言語系スタンプ

と大きく分けてこの3つ、またその組み合わせだと思います。

ここで一度ボクが買っているスタンプはどういう動機で買ったのかを考えてみたい。1つはその作品のファンだからというのもある。水木しげるさんが大好きなので鬼太郎スタンプや、でんぱ組.incスタンプがこれにあたる。

また友達や、知り合いのスタンプ消しゴムはんこ作家のとみこはんや、キムアスくんのがこれにあたる。

そしてこれは知り合いだから、好きだからというのにも含まれるが、応援・支援の意味で買うというスタンプもある。ネゴシックスのもそうだし、杉作J太郎さんのもこれにあたる。

つまり買う側(ボクに限るかもしれないが)の重要視するポイントは何もLINEスタンプに利便性などの実用性はさほど重要視していないと言うのがみて取れる。40種類も絵柄があれば(今は12種類から販売出来るが)中に使いやすいのが含まれているだろうし、よく聞くのは、使いやすいのが1つでもあればと言う声だ。これは裏を返せばやはりそこまで実用性を重要視していないと言う事だ。

では何に重きを置いてLINEスタンプを購入しているかと考えると、やはりファンだからと言うのが大きなファクターなんじゃなかろうか。愛好家、狂信者という意味からも、お布施や、神社の賽銭的感覚で投げ入れてくれるような環境作りが必要なんじゃなかろうか。記念にというお土産感覚だったり、神社で考えた場合、わざわざ神社にお参りに行く目的で行く場合と、たまたま通りかかったついでにというパターンもある。買いたいと思って買ってくれるのと、たまたま見かけて衝動的に買ってしまうパターンだ。ファン目線から行けばすでに購入している方はわざわざお参りに来て賽銭を投げている人で、これはすでにて渡っていると思うが、この層をもっと増やさなければならないことは確かだ。

一方たまたま通りかかって賽銭を投げる層を開拓するには各種SNSで宣伝しまくるしか方法が無いかと思いきや、これは中々足を運んでくれるまでにもある程度関係性が無ければならない。ただの告知だと流されてしまうから。で、実はリアルな友達や知り合いに送りつける事で買ってもらえることもある。これはそのやりとノリで買ってもらえるパターンでこの気軽さ、お手軽さは付き添いで行った神社で賽銭箱に投げるのや、一緒に自動販売機でジュースを買う感覚に近いのかもしれない。そういう友達、知り合いを増やさなければならない。(キングコング西野さんの言うところの、1人ずつモリで刺す※魔法のコンパスより)

また、CAMPFIREの家入さんが始めたpolcaと言うサービスがこの感覚に非常に近いと思った。友達や、フォロワー、身近な友達で始めるフレンドファンディングと銘打っているからも分かるように、知り合いの間で、行うクラウドファンディングだが、正にお賽銭感覚で、見返りというか、お返しの楽しさ、面白さに乗ってくれる人を集う感覚は、路上アーティストへの投げ銭感覚にも近いが、関係性はもっと近い。

大量生産、大量消費の時代は終わり、ネット社会になって久しく顔の見えなかった事の反動が、こうした顔の見えるやりとりに回帰しているのかもしれない。

また、自動販売機で投げ入れる120円も、チャリンというあの音や行動が伴い、賽銭箱に投げ入れる賽銭もやはりチャリンという音と行動が伴う。つまり、そこにリアルな行動と実感がある。ところがLINEスタンプの購入にはそのリアルな行動と実感が乏しい。スマホの画面でタッチするのみで、数字が処理されたいだけでは、やはり買った感が薄いのかもしれない。そうした実感の補完として顔の見えるやりとり、反応が必要なんだとも思う。

 

やはりファンを作らなければ、いくらLINEスタンプを作っても売れないという訳だ。ではファンはどうしたら作れるのかと言えば、作品も大事だけれど、そこはやっぱり人間性だと思うんだよね。あの人のが欲しい!や、あの人がいうならしょうがないとか。ずっと圧倒的な作品の魔力が有ればそこは飛び越えるもんだと思っていたけど、それには人間性が不可欠なんだよなぁ。

原田専門家スタンプリスト https://store.line.me/stickershop/author/8092/ja


魔法のコンパス 道なき道の歩き方

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